龍の薬膳part29 処暑~白露の養生・薬膳
2024.09.10
連日人の体温を上回る暑さが続いておりますが、立秋が過ぎ、暦の上では秋となりました。
今の季節は二十四節気では処暑~白露。厳しい暑さは峠を越し、朝晩は涼しい風が吹き始め、秋の台風の季節の到来時期でもあります。
中国最古の医学書には、四季の養生法について示されていますが、秋の養生として、
1.心を落ち着かせましょう(夏に活発になっていた気を落ち着かせて内面に気を向ける)
2,早寝早起きしましょう(秋は暑さと涼しさが入り混じる季節。夜には陰が補われ、日中の暑さの熱を冷まし、早起きして長く太陽の光を浴びることで体内の陽気を養い、急な寒さにも対応できる身体づくりができる)
3.気は外に向けず、肺を浄化しましょう(秋の外気は乾燥してくるため、乾燥を防ぎ、肺を潤すようにする)
また、秋に養生できないと肺を傷めてしまって風邪もひきやすくなるし、下痢もなるという意味合いの文言があります。
気候変動で実際には湿度が高くて蒸し暑い日もありますが、これからの季節は乾燥に注意し、喉や肺を潤していくことが重要です。
今回は、乾燥を防ぎ、肺や喉を潤していく養生食をご紹介します。
人参の煎じ汁~人参は虚弱体質の子どもが常食すると体質改善に役立ちます。また、ナツメの果実を乾燥させたものは滋養強壮の生薬として利用されています。特にお子さんで、しつこい咳が続く場合は人参の煎じ汁を飲ませてあげましょう。
[人参の煎じ汁の作り方]
人参120g(小サイズ1本程度)、乾燥ナツメ10個を500mⅬの水に入れ、三分の1程度の量になるまで煎じる
梨のハチミツ蒸し~梨は昔から風邪や扁桃炎による喉の渇きや痛みを鎮める妙薬として用いられています。特に、喘息発作のある方などは、梨にハチミツをつめて蒸すか、フライパンで焼いて食べさせると効果的です。また、梨の絞り汁も咳止めや痰切りに役立ちます。
[梨のハチミツ蒸しの作り方]
梨1個を準備し、梨の皮をむき、ヘタと芯をスプーンでくり抜きます。くり抜いた部分にハチミツを入れるのでそこが抜けないようにくり抜いていきます。
ヘタをくりぬいた部分にハチミツ30g(大さじ1/2)を入れてヘタで蓋をします。
梨を蒸し器に入れて約1時間蒸します。蒸し終わったら粗熱を取って8等分に切り、1回に2切れずつ食べます。(1日で食べきります)
[梨のハチミツ蒸しをフライパンで]
梨1個は皮をむいて厚さ1㎝程の輪切りにし、種と芯を取り除く。これをフライパンに入れ蓋をして弱火で蒸し焼きに。水気が無くなったら焦げる前に火を止めます。
1日で1個食べると良いです。
カリンの砂糖漬け~カリンは古くから頑固な咳の特効薬として知られてきました。疲労回復にも優れ、普段から体力が無く、疲れた時に咳や喘息発作を起こしやすい方は予防のために常食すると良いです。
[カリンの砂糖漬けの作り方]
カリン2~3個を1㎝くらいの厚さに輪切りにする。鍋に入れ、ひたひたの水を入れて柔らかくなるまで煮て、黒砂糖200gを加えてさらに煮詰めます。ある程度水気が無くなったら火からおろし、さらに100gの砂糖をまぶして保存。毎日1切ずつ食べる。
カボチャの種の煎じ汁~カボチャは花、葉、種子、実ともに優れた薬効を持っています。熱を冷まし、下痢を止め、痰を切る、母乳の出を良くする等の薬効を始め、体内余分な水分を取り除く利尿作用も優れます。中でもカボチャの種の部分は咳の妙薬として利用されています。喉が痛い時はカボチャの種を乾燥させたものに氷砂糖を加えて煎じて飲むと痛みがぐっと和らぎます。
[カボチャの種の煎じ汁の作り方]
カボチャ一個分の種を取り出し、日干しにして乾燥させる。カラカラになるまで乾かす。
乾燥した種と氷砂糖一掴みを適量の水に煎じて飲む。
以上の記事は「食べて治す医学大辞典」を参考に作成しています。