龍の薬膳part3 食欲不振
2023.07.15
夏の養生 ④食欲不振
大雨のあと、外気温が上昇してきていますね。これから夏本番。お部屋で過ごすときはエアコン等で室温を調節しながら外気温と室温の差をつけすぎないように過ごしていただきたいと思います。大きな気温差は体温調節を行う自律神経の働きにも影響してきます。外気温と室温の差は7~10℃程度とされていますので室温の冷やし過ぎには注意しましょう。また、冷たい物が欲しくなるこの季節こそ注意してほしいのが、「食欲不振」です。食欲は環境の変化、体の変調や精神的ストレスなどの影響を受けやすいのです。どうも食欲がないな…と感じたら睡眠不足や運動不足になっていないか、悩みや心配ごとを抱えていないか、日常生活を振り返ってみるのも大切です。それ以外にも、食欲不振は胃炎、肝炎、膵炎、胆のう炎、腎臓病、神経性食欲不振症、ガンなどの病気の一症状の場合もあるので、注意が必要です。原因不明の食欲不振が続く場合は医療機関に相談してください。
今回は食欲を増進させる食品、レシピを紹介します。
食欲増進に~しょうがの甘酢浸け
しょうがの独特の香りは料理に風味を与え、食欲を増進する働きを持っています。また、しょうがの辛み成分であるジンゲロンやショウガオールなどは優れた殺菌力をもち、吐き気を抑え、食欲を増進させる作用があります。胃がつかえて食が進まない時は生のしょうがの薄切り2~3切を食べると食欲がでます。ただし、痔の人や目が充血ている人は控えましょう。しょうがをスライスして甘酢に浸けておくと日持ちしますし、食べたいときに手軽に食べたりサラダや煮物等にも活用できます。
レシピ: しょうが(薄切り)…150g (A:浸け汁 ・酢…75ml・砂糖…45g・塩…9g),
しょうがを薄くスライスし、Aの材料を混ぜた浸け汁に浸け、冷蔵庫で休ませる
食欲不振に~みかんの皮の煎じ汁
みかんの皮・種子・根のうち、一番薬効があるのは皮です。みかんの皮は胃の働きを高め、食べ物の滞りをなくす働きに優れており、食欲不振の治療薬として昔から活用されてきました。漢方ではみかんの皮を乾燥させたものを橘皮(きっぴ)、橘皮の古い物を陳皮(ちんぴ)と言います。皮は古い程薬効があるので食欲がない時は陳皮を擦って粉末にしたものを1~2g、毎食前に飲んでも良いでしょう。
レシピ :みかんの皮10gを600mlの水で半量になるまで煎じる。この煎じ汁を1日3回に分けて飲む。はちみつを少し加えても良いです。
ストレスによる食欲不振に~しその葉の煎じ汁
しその香りは胃液の分泌を促し、食欲を増進させるほか、胃や大腸、小腸の働きを良くする作用があります。また、神経症や不眠症を治す作用もあるので、精神的ストレスによって食欲不振になっている場合はぴったりの野菜です。
レシピ:乾燥させたしその葉5gを600mlの水で半量になるまで煎じる。これを1日分として3回に分けて飲む
腹痛に効く~ヤマモモ樹皮の粉末
ヤマモモの濃い紅紫色の果実はそのまま食したりヤマモモ酒にして口にすることがあると思いますが、薬効があるのは樹皮の部分です。乾燥させた樹皮は揚梅皮という生薬名で薬用として利用されてきました。皮に含まれている成分には食欲を増進させる作用がある他、胃腸からくる腹痛や下痢を止めたり利尿作用もあります。
レシピ:ヤマモモの樹皮をすりおろし器ですりおろす。またはすり鉢ですって粉末にする。1回1~2g、1日3回飲む。
食欲を刺激する~パセリ
パセリの香りはピネン、アピオールという精油成分によるもので、この成分は胃に適度な刺激を与えて消化をよくし、食欲を増進させる働きがあります。また、魚や肉の毒を消す作用もあるので積極的に摂るようにしたいものです。胃が冷えやすい人、体力が衰えて食欲不振の人は毎日料理に添えて食べるようにしましょう。ただし、汗っかきや腋臭の人は多食を控えましょう。
~この記事は「普及版 食べて治す医学大辞典」「ミツカンホームページ」などを参考に作成しています。