龍の薬膳part9 疲れ目
2023.08.28
「疲れ目」の薬膳:
夏休みも残りわずかとなりました。お子さんは宿題や自由時間の中でいつもよりもスマホやパソコンを使う機会が増えてきてはいませんか?目を酷使すると、目が痛む、かすむ、チカチカする、充血する、まぶしい、涙が出るなどといった疲れ目の症状が出てきます。進行すると頭痛やめまい、肩こり、吐き気なども伴うようになります。日頃から目に良いビタミンA、B1、B2、Cをたっぷり摂るようにし、バランスの良い食事を心がけましょう。特にビタミンAは眼球乾燥に効くと言われ、目に栄養を与えます。ビタミンAが豊富な食べ物は、ヤツメウナギ、レバー、チーズ、バター、卵黄、ホウレンソウ、人参、パセリなどです。目を調節する筋肉を丈夫にするためにアミノ酸(タンパク質)も必要で、これは目を美しくする効果もあります。また、過労や睡眠不足も疲れ目の原因になります。目の休養はもちろん、身体の休養も大切です。また、ニンニクや赤トウガラシ、ショウガ、チョコレート等の刺激の強い食べ物は目が充血している時は避けましょう。
今回は疲れ目におすすめの食材、お手当法、薬膳レシピを紹介します。
- 副作用の少ない~番茶の目薬
目に炎症が起きたための眼精疲労には、お茶が目薬になります。お茶の冷やす働きが効くのです。番茶を濃く入れて、少量の塩を加えただけの簡単なものです。脱脂綿に番茶の目薬を浸して1日2回程目の周りを拭きます。目がしょぼしょぼしたり、目やにが多い時にも有効です。
- カロチンが生きる~人参とレバーの炒め物
人参はビタミンAと同じ働きをするカロチンが豊富に含まれています。しかし、カロチンは体内での吸収が悪いので、油と一緒に摂ることで吸収力がアップします。人参を油で炒めたり、サラダにしてドレッシングと和えると良いでしょう。また、漢方では目の機能は肝臓の働きと深いつながりがあるとしています。肝臓の機能が低下すると往々にして目が疲れたり、充血したり、視力が減退します。レバーは肝臓を強くする食べ物であると同時にビタミンAが豊富に含まれているため、目に栄養を与えます。そこで、人参とレバーを油で炒めて美味しく効率よく体に吸収できるレシピを紹介します。
人参1本、豚レバー50ℊ、塩コショウ少々、サラダ油適量準備します。
豚レバーは牛乳に漬け込んで血抜きをします。人参は短冊切り、豚レバーは一口大の薄いそぎ切りにし、油を敷いたプライパンでレバー、人参の順に炒め、人参がしんなりしてきたら塩コショウで味をつけていただく。
- 目のかすみとイライラに~キンシンサイ
「キンシンサイ(金針菜)」は必須ミネラルを豊富に含むほか、ビタミンA、B、Cもある中国の代表的な乾物です。リン脂質を含む「レシチン」も含まれていて、脳機能の強化や改善に重要な栄養素と言われています。神経組織や毛細血管に必要な栄養素をもたらすため、目のかすみに効きます。また、イライラや不安を除きます。キンシンサイは必ず水でもどして使います。戻す量はできるだけ少しにするのがコツです。戻し汁に栄養素が溶け出しているので汁ごと使いましょう。お好みの野菜と一緒に炒めて中華だしで味付けしたり、季節の葉物野菜とお浸しにしていただいてもおいしいです。
- 視力を明らかにする~エビスグサの煎じ汁
エビスグサの種とクコの実を天日干しにし、エビスグサの種子10ℊ、クコの実5ℊを300㎖の水で煎じる。煎じ汁を一度冷まし、再度コーヒー色になるまで煎じる。それを1日分とし、3回に分けて飲みます。エビスグサは漢方では「決明子(ケツメイシ)」という生薬名が付いています。エビスグサの種子に便通を整える作用があり、目の周りの充血を取ることにより視力が回復することから「明を決く(ひらく)種子」という名が付いたと言われています。エビスグサの煎じ汁で目を洗うと目の疲れが取れ、充血も治ります。常用すると視力の衰えも防ぎます。また、これにクコの実を加えるとさらに効果が高まります。
- 目が痛むとき~クコの煎じ汁
クコの根にはベタインやリノール酸、葉にはビタミンCがたっぷり含まれています。目が赤く充血して痛む時にはクコの葉や根の煎じ汁で目を洗浄すると効果的です。クコの生葉50gまたは乾燥葉10gを600mⅬの水で煎じ、ガーゼなどで濾してカスを取り除き、この汁で目を洗います。また、よく洗ったクコの生の根20gをすり潰してから600mⅬの水で半量になるまで煎じた汁で洗眼しても痛みが和らぎます。
【その他のおすすめ食品・山野草】
- 菊の花~菊の花は昔から目の薬と言われ、食用菊を酢の物やてんぷらにして利用してきました。菊花茶も有名です。乾燥した菊の花(漢方薬局で入手できます)3g程をポットに入れ、熱湯を注いでお茶のようにして飲みます。煎じればなお効果的で、10gを600mⅬの水で半量になるまで煎じた汁を1日3回に分けて服用します。
- アワビ~ビタミンAを豊富に含むアワビは眼精疲労や夜盲症に良く効きます。刺身か酒蒸しにし、薄く切ってしょうゆをつけて食べると良いでしょう。アワビは身だけでなく殻も視力障害に効果があります。殻を焼いて粉末にします。これを1日2~5g、水または白湯で飲みます。
- ムクロジ~ムクロジは疲れ目による目の充血や痛みを取ります。生花なら50g、乾燥させた花なら10gを600mⅬの水で半量になるまで煎じ、カスを取り去った汁で目を洗います。
- キハダ(黄柏、黄檗)~6gを600mⅬの水で半量になるまで煎じ、漉した汁で洗眼すると疲れが取れます。この汁で目を湿布しても有効です。
- 仮性近視に梅肉エキス・ハブ茶・メハジキ~近視は遺伝的要素、またはテレビや本を見る距離が近すぎたり見る場所が暗すぎたりすると起こりやすくなると考えられています。仮性近視はこの近視の状態になりかかかっている時期をいいます。この時期ならまだ元の視力に戻る可能性がありますので、早めに処置をして進行を止めなければなりません。仮性近視に効果のある食べ物は梅肉エキス、ハブ茶です。そのほか、メハジキ(益母草・茺蔚子)の煎じ汁が効きます。また、時々星や緑など遠くにあるものを見つめることも仮性近視を治すのに効果的です。
▶梅肉エキスは少量の水、またはお湯で薄めて飲みましょう。
▶ハブ茶はハブソウではなく、エビスグサを使ったお茶を選びましょう。市販のハブ茶はエビスグサを用いているものが多いようです。
▶メハジキは種子2g、葉と茎10gを450mⅬの水で半量になるまで煎じ、これを3回に分け、食前1時間に飲みます。
~上記の記事は「普及版食べて治す医学事典」「WIKIPEDIA」「森久商事株式会社のホームページ」を参考に作成しています